司法書士 長部教考のトラブル解決 トラの巻

離婚

「離婚」

今回は「離婚」をテーマに
キーワードを簡単にご説明させていただきます。

【協議離婚】

夫婦で離婚に合意して、本籍地または住所地の市町村役場へ離婚届を提出することを言います。
証人2名の署名押印が必要で、証人は成人であれば誰でも構いません。

他の裁判上の手続とは違い、離婚の理由や事情は関係ありません。
夫と妻が離婚に合意していれば良いのです。

しかし、簡単な離婚方法のため、
養育費、財産分与、慰謝料の金額などについて
合意が成立しないまま離婚をしてしまう傾向があります。

いったん離婚してしまうと話し合いが困難になることも多いため、
決めるべきことは、離婚時までに合意した方が良いでしょう。

交渉事は焦ると不利になってしまいます。
お互いの要求・条件について十分に話し合いましょう。

◇離婚時までに決めておくべき事項◇

1.親権・監護権、養育費(しんけん・かんごけん、よういくひ)

未成年の子がいる場合、
離婚後の親権者をどちらにするか、
どちらが引き取って面倒を見る監護者になるかを決めなければなりません。

親権者と監護者は同じ場合が多いですが、別に定めても構いません。

またどちらが親権者・監護者になるかには関係なく、
親である限り子を養育する義務があり、
子供を引き取らなかった親は、
子供に対して養育費を支払う扶養義務があります。

養育費として、
いつまでの間、いくらのお金をどのように支払うかを決める必要があります。

2.面接交渉権(めんせつこうしょうけん)

離婚後に子を引き取らなかった親が、
子供と面会したり、一時的にいっしょに過ごしたりできる権利のことです。

これは子の権利でもありますので、子の気持ちも尊重して決定しましょう。

3.慰謝料(いしゃりょう)

不倫など離婚の原因を作った側から、
これによって精神的苦痛を受けた配偶者に対して支払われる損害賠償のことです。

4.財産分与(ざいさんぶんよ)

婚姻中に夫婦の協力によって蓄えられた財産を、離婚時に清算することです。

どのような方法で離婚するか、
またどちらに離婚原因があるかには関係なく、公平に分けるのが原則です。

しかし、共有の不動産のように分割が困難な財産もありますし、
夫婦で債務者になっている借金や、一方が保証人になっている借金など、
慎重に専門的な知識をもって検討することが必要な場合もあります。

5.年金分割(ねんきんぶんかつ)

婚姻期間にしたがって厚生年金(公務員は共済年金)の分割を請求することができます。当事者の合意(合意した内容については公証役場で手続きする必要があります。)又は裁判所の決定できめることになり、分割割合は婚姻期間中の夫婦の保険料納付記録の合計の半分が限度です。分割割合について合意または決定の上、社会保険事務所に厚生年金分割の請求をします。離婚後2年以内に分割請求しなければ、請求する権利はなくなります。
婚姻中に扶養されていた配偶者からの一方的な請求で分割を求めることができる制度もあり、この制度については請求できる期限は定められていません。

6.その他

以上の外にも、必要に応じ、いつ離婚するのか、家を出て行くのはどちらで、いつ出ていくのか、出て行く方の荷物はいつまでに持ち出すのかなどについても決めておきましょう。
内縁関係にあった人同士が別れる場合にも、婚姻関係に準じた権利が認められているものもありますので、離婚と同様に決めるべき事は決めた上で、別れた方がよいでしょう。

離婚協議書の作成

取り決めた内容を書面にしないまま離婚届を出してしまうとトラブルの元になります。必ず離婚協議書を作成しましょう。万全を期する場合には、公正証書を作成することをお勧めします。

離婚届の不受理申出

慰謝料や養育費について合意が成立していないのに、相手が勝手に離婚届を偽造して提出してしまう可能性がある場合や、離婚届に署名捺印をしてしまった後で離婚の意思が無くなったような場合には、市町村役場に離婚届不受理申出書を提出することができます。離婚届不受理申出書が提出されていれば、その後に離婚届が提出されても受理されません。

調停離婚

合意が成立しない場合や、相手の顔も見たくないといった場合には、離婚調停を家庭裁判所に申し立てる事になります。離婚等の家庭問題については、原則として訴訟の前に調停の申立をしなければならないことになっています。
調停手続においては、調停委員が双方から事情を聞きながら仲立ちしてくれます。離婚条件について合意が成立すれば、調書が作成され、離婚が成立します。合意が成立しない場合には、不調として終了し、訴訟を提起することになります。

裁判離婚

当事者の協議や調停では離婚の合意ができなかった場合、家庭裁判所に離婚の訴えを提起することになります。
協議・調停離婚の場合、離婚原因は必要ありませんが、離婚訴訟の場合には法定されている離婚原因の存在が要件になり、認められている離婚原因は次のとおりです。

(1)不貞行為

配偶者がいるのに配偶者以外の者と性的関係を持つことで、いわゆる浮気です。

(2)悪意の遺棄

夫婦は、特殊な仕事に就いている場合を除いて一緒に暮らさなければならない義務や互いに助け合わなければならない義務があります。これらの義務を果たさないことで、「生活費を稼がない、渡さない」、「帰ってこない」などが挙げられます。

(3)生死不明

3年以上にわたって生死不明の場合で、この場合は調停を経ないで直接訴訟を提起することになります。

(4)回復の見込みのない強度の精神病等

認知症・そううつ病・偏執病などの精神病で回復が見込めない場合です。

(5)婚姻を継続し難い重大な事由

婚姻を継続し難い重大な事由があるかどうか最終的には裁判官が判断することになります。例としては、「性格の不一致」「暴力、虐待」「嫁・姑問題」「異常な宗教活動」「耐えられないような異常性癖や長期間のセックスレス」などが挙げられますが、一般的に受忍できない程度である必要があります。

慰謝料や養育費を払ってくれない

一般的には、まず、内容証明郵便等で支払いを催促し、それでも支払ってくれないときには訴訟手続で請求します。判決が出たのに支払おうとしない場合には、相手の財産や給与を差し押さえて支払ってもらうことになります。
相手が破産や個人再生といった債務整理手続を行ったとしても、養育費等は請求できます。

養育費を減額して欲しい

一般的に、養育費の具体的な金額は、子を育てるために必要な費用と、父親と母親のそれぞれの収入を考慮して決められます。再婚や養子縁組、老親の介護費用の発生など生活状況が大幅に変化してしまった場合なども考慮される必要があります。まずは、お互いに相手の生活状況を理解し合って、話し合いで養育費の額を変更できるか努力してみて下さい。話し合いで解決できない場合には、家庭裁判所へ養育費の減額調停を申し立てることができます。

長部教孝2010/02/24

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